Ryzen 5000シリーズに新モデル追加
2022年7月15日AMDはデスクトップ向けのRyzen 5000シリーズに新モデルを追加することを発表しました。
追加ラインナップは、Ryzen 7 5800X3D、Ryzen 7 5700X、Ryzen 5 5600、Ryzen 5 5500です。
Ryzen 5000シリーズ追加モデルのスペック
今回追加されるモデルのスペックを表にしました。
CPU型番 | コア/スレッド | ベース | ブースト | TDP | 内蔵GPU | L3 キャッシュ |
Ryzen 9 5950X | 16 / 32 | 3.4 | 4.9 | 105W | – | 64MB |
Ryzen 9 5900X | 12 / 24 | 3.7 | 4.8 | 105W | – | 64MB |
Ryzen 7 5800X3D | 8 / 16 | 3.4 | 4.5 | 105W | – | 96MB |
Ryzen 7 5800X | 8 / 16 | 3.8 | 4.7 | 105W | – | 32MB |
Ryzen 7 5700X | 8 / 16 | 3.4 | 4.6 | 65W | – | 32MB |
Ryzen 5 5600X | 6 / 12 | 3.7 | 4.6 | 65W | – | 32MB |
Ryzen 5 5600 | 6 / 12 | 3.5 | 4.4 | 65W | – | 32MB |
Ryzen 5 5500 | 6 / 12 | 3.6 | 4.2 | 65W | – | 16MB |
今回追加されたモデルはすべてZen 3アーキテクチャとなっています。Ryzen 7 5800X3DとRyzen 7 5700XはCPUクーラーは付属しておらず、Ryzen 5 5600 とRyzen 5 5500にはAMD Wraith Stealthクーラーが付属しています。
Ryzen 7 5700X
Ryzen 7 5700Xは、2020年に発売されたRyzen 7 5800Xを低クロック化、低TDP化したものです。8コア16スレッドモデルで、L3キャッシュ32MB+L2 4MBと、5800Xとまったく同じ構成になっています。TDPが105Wから65Wに変更されています。それに伴いベースクロックが3.8GHzから3.4GHzに下がっていますし、ブーストクロックも4.7GHzから4.6GHzに下がりました。しかし、L3キャッシュが同じなので5800Xに近いパフォーマンスを発揮すると思われます。5700Xは定価299ドル(約35,600 円)で発売されます。5800Xより安く購入でき、TDPも低いのでコストパフォーマンスがよいCPUと言えるでしょう。
5700XはIntelの第12世代CPUに対抗するために投入されたのは明白です。ターゲットは12700Fと12600Kのあたりです。5800Xはこれらのパーツと性能が拮抗しています。5700Xは定価の時点で、12600Kの現在の販売価格より低く設定されているので実際は更に安く購入することができるかもしれません。
Ryzen 5 5600
Ryzen 5 5600は、Zen 3アーキテクチャで設計されたCPUを定価199ドル(約23700円)という低価格で購入できます。5600と5600Xとの違いは、クロックスピードが少し下げられている点です。5600Xはベース3.7GHz、ブースト4.6GHzの6コア12スレッド、5600はベース3.5GHz、ブースト4.4GHzの同じコア構成になっています。単純に200MHzのクロックダウンで、32MBのL3キャッシュが維持されるため、5600Xと同様の性能になるでしょう。
5600Xは性能面で12400Fと張り合っている状態です。12400Fは現在約22000円前後のCPUなので、5600と12400Fは激しいライバル争いになりそうです。
Ryzen 5 5500
Ryzen 5 5500は前述の5700Xや5600と少し違っており、Zen 3の標準的なVermeerのデスクトップ用ダイを使っていません。Zen3 Cezanne というモバイル版APU改良したCPUです。統合グラフィックスを無効化し、性能が抑えられています。6コア12スレッドのZen 3 CPUコアですが、L3キャッシュは5700Xや5600の半分の16MB(+L3 3MB)しかありません。また、5600よりもクロックが低く、4.2GHzのブーストとなり、AMDのAPU設計を採用しているため、PCIe 4.0ではなく、PCIe 3.0の20レーンのみに制限されています。
5500の価格は159ドル(約19000円)で、Intel製品との比較では、12400Fと12100の間に位置することになります。おそらく性能もその範囲に収まるでしょう。
3D V-Cache技術を搭載 Ryzen 7 5800X3D
今回の新CPUでの注目はなんといってもこのRyzen 7 5800X3Dでしょう。3D V-Cache技術を初めて採用したCPUで、既存のZen 3の上にL3キャッシュを1層追加し、L3合計を32MBから96MBに大幅に増加させています。AMDはL3キャッシュの事をゲームキャッシュと呼んでいるように、L3キャッシュはゲームパフォーマンスに大きな影響を与えます。
上のグラフは、5800X3Dと5900Xを各ゲームごとに性能を比較したものです。AMDは、V-Cacheを追加することにより、5900Xと比較して、ゲームで15%のパフォーマンスアップと言っています。
こちらのグラフは、5800X3Dと12900Kを各ゲームごとに性能を比較したものです。ここに表示されているゲームにおいては12900Kと同等か、それ以上のパフォーマンスを発揮しています。このグラフはAMDが提示したものなので、ある程度AMD側に有利な条件でテストされている可能性もありますが、5800X3Dに対する期待は高まります。
5800X3Dのスペックは、TDP 105Wの中にベースクロック3.4GHz、ブーストクロック4.5GHzの8コア16スレッドのZen 3 CPUを搭載。5800Xや5700Xよりも若干クロックが低く、5800Xに対してブーストが200MHz下がっていますが、これはキャッシュを大幅に大きくするために必要な調整だったと思われます。
AMDは当初、このCPUを400シリーズと500シリーズのマザーボードでサポートすると発表していましたが、BIOSアップデートにより、300シリーズのマザーボードでも動作するようにしました。
5800X3Dは4月20日発売予定で、定価は499ドル(約53500円)。5800Xが現在の販売価格が約44000円前後なので10000円ほど高い価格設定です。性能差と価格差の釣り合いが取れているか微妙なところですが、詳細なベンチマーク結果が非常に気になります。
まとめ
今回発表された5000シリーズはどれもIntel12世代CPUに対抗する性能と値段に設定されています。性能も値段も拮抗しているのでこれから自作PCを組み立てる予定の方には非常に悩ましい状況になってしまったかもしれません。
Ryzen 7 5800X3Dは新技術3D V-Cacheを搭載した初のCPUで、これまでのCPUとは違った性能を見せつける可能性があり楽しみな製品です。最終的な判断は、5900Xや12900Kなどと比較してどうなのかによるでしょう。
参考
https://www.youtube.com/Monoras/
https://www.techpowerup.com/
https://www.tomshardware.com/
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