Intel Arc A380 性能情報
前から発売が噂されていたIntel製のグラフィックカード ARC シリーズのArc A380が中国でついに発売となりました。今回はArc A380の性能やベンチマークを確認していきましょう。
Intel Arc A380 基本性能
Arc A380 | Radeon RX 6400 | GeForce GTX 1650 | |
Node | TSMC N6 |
TSMC N6 |
TSMC 12nm |
アーキテクチャー | Alchemist |
RDNA 2 |
Turing |
GPU | DG2-128EU |
Navi 24 |
TU117 |
コア数 | 1,024 | 768 | 896 |
FP32 TFLOPS | 5.02 | 3.57 |
2.90 |
メモリー | 6GB GDDR6 96-bit 15.5Gbps, 192 GB/s | 4GB GDDR6 64-bit 16Gbps. 144 GB/s | 4GB GDDR5 128-bit 8Gbps, 128 GB/s |
TDP | 75 Watt |
53 Watt |
75 Watt |
ビデオコーデック | AV1, H.264, H.265 decode/encode | H.264, H.265 decode only | H.264, H.265 decode/encode |
予定価格 | $135 |
$159 |
$190 |
A380はIntelのArc AlchemistファミリーのエントリーレベルのデスクトップGPUです。価格はおよそ150ドル程度で、Radeon RX 6400やNvidia GTX 1650 に対抗するために設計されています。これらのGPUは、いずれも1080pゲーム向けに作られています。予算は少ないけれども、統合型グラフィックス以上の迫力が必要というユーザーに向けと言えるでしょう。インテルのGPUは、この価格帯では非常にまともなスペックを持っています。また、通常はもっと高価なGPUにしか搭載されていない技術も提供されています。NvidiaのDLSSやAMDのFSRのようなアップスケール技術XeSSをサポートしていたり、ハードウェアアクセラレーションによるレイトレーシングや、このクラスのGPUでは珍しい6GBのRAMをサポートしているのが特徴です。
Arcはメディア機能にも力を入れています。ArcにはXeメディアエンジンが搭載されており、AVC(H.264)、HEVC(H.265)、VP9、AV1の最大8Kエンコードとデコードをサポートしています。AV1のハードウェアエンコードをサポートしているGPUは今のところArcだけなのだそうです。A380とCore i5-12600KのCPUによるAV1ビデオのエンコードを比較したところ、A380は4分の1以下の時間で終了したというデータもあります(53秒対234秒)。
Intel Arc A380 ベンチマーク
Arc A380の性能を3DMarkのベンチマークで確認していきます。比較するGPUはRTX 3050、Radeon RX 6500 XT、Radeon RX 6400、GTX 1650です。
3DMark TimeSpy
型番 | スコア |
RTX 3050 |
|
Arc A380 |
|
Radeon RX 6500 XT |
|
Radeon RX 6400 |
|
GTX 1650 |
|
Arc A380は、3DMark の TimeSpy ベンチマークで GTX 1650 と RX 6400 を圧倒し、RX 6500 XT にも勝っています。ハードウェアのポテンシャルの高いことがよくわかります。RTX 3050がおよそ249ドル、Arc A380が150ドル前後で発売されることを考えるとArc A380はかなりコストパフォーマンスが高そうです。
3DMark Port Royal
型番 | スコア |
RTX 3050 |
|
Arc A380 |
|
Radeon RX 6500 XT |
|
Radeon RX 6400 |
|
GTX 1650 |
|
3DMark Port Royalはリアルタイムレイトレーシングのベンチマークです。RTX 3050が圧勝ですが、それでもA380がRX 6500XTやRX 6400よりも高いスコアを出しているのは高く評価できるでしょう。
Intel Arc A380 ゲーミング性能
Arc A380 のゲーミング性能を見ていきます。
上のグラフはIntelが発表した公式のもので、A380を様々なゲームを1080Pで動かしたときのFPSを表しています。一般的なタイトルで60FPS以上でプレイできると主張し、エントリーレベルのGPUでも高いゲーミング性能をもっていると宣伝しています。
解像度フルHDの平均FPS
ここでは海外で検証されたArc A380のゲーミング性能を確認していきたいと思います。
10種類以上様々なPCゲームを起動し、その時の平均FPSを表にまとめました。
型番 | スコア |
GTX 1650 |
|
Radeon RX 6400 |
|
Arc A380 |
|
Intelが公式に発表したFPSよりも全体的に遅く、GTX 1650とRadeon RX 6400よりもひくいスコアになっています。最新のIntel GPU が、3 年以上前にリリースされたエントリーレベルの Nvidia GPU や、モバイル GPU をグラフィックカード に貼り付けた Radeon GPUに負けてしまうのはA380に期待していたユーザーに取ってはガッカリする結果になってしまいました。ゲームではいまいち性能を発揮しきれていないのでしょう。おそらくA380用のドライバがゲームに最適化されていないためと思われます。ドライバが最適化されれば、3DMarkのベンチマークの結果のように、高いスコアをだす可能性があります。
まとめ
Arc A380はスペック上は高性能に見えますが、実際の計測結果はイマイチなものでした。3DMark Timespyでは、高価なRX 6500 XTに勝っていますし、レイトレーシングのベンチマークであるPort Royalテストでも好成績を収めています。Arc A380は、DaVinci Resolveを使用したHEVCエンコードのような他のビデオエンコードシナリオでも高速でした。CPUグラフィックスと専用GPUを活用するIntelのディープリンク機能では、GTX 1650カードが25秒かかるのに対し、16秒でタスクを完了させることができたのです。興味深いことに、UHD Graphics 770やArc A380だけでは30秒必要だったので、Deep Linkのおかげでエンコード性能は非常にほぼ倍増しています。
残念だったのはゲーミング性能です。後発の製品にも関わらず、Radeon RX 6400やNvidia GTX 1650を上回る性能を発揮することができませんでした。先程も書きましたが、Intelがドライバに問題を抱えている可能性は十分にあります。ドライバが最適化されれば明らかにGPUの性能に大きな影響を与えるものです。Arc A380の性能をフルに活用できるドライバが開発されればA380の評価はかなり高いものになるでしょう。
メディア機能を重視するならば、Arc A380は素晴らしい選択肢となるかもしれません。ゲームをメインに考えているユーザーにとっては、ドライバの成熟まで待ったほうが良いでしょう。
参考
https://www.tomshardware.com/
https://www.techspot.com/
https://www.techpowerup.com/
https://videocardz.com/
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